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●January.21.2004

バイオ警察

取材・文/梅田正隆
犯人特定と再犯抑止を狙った“犯罪者DNAデータベース”の構築が、科学警察研究所で進められている。犯罪者のDNAを蓄積し、DNAプロファイリングシステムとして活用するというのだ。もしかしてDNAの型から犯罪予備軍を洗い出し、徹底マークするなんてことを考えている? 今回は警察のバイオテクノロジーについて見てみよう。
 バイオテクノロジーなど先進技術の波が、事件捜査の技術にも導入されている。
知らなかったのだが、和歌山カレー事件で犯行に使用された砒素を同定するために、なんとSPring-8が用いられていた。このことはニュース報道等では触れられていなかったと思う。
SPring-8は、世界最高性能の放射光(電子を加速器で加速させ飛び出してくる光子)を発生させる国際的にも最先端の公的研究施設。放射光は非常に短い波長であり、この光を使えば従来、分からなかった原子構造まで明らかになる。レントゲンで骨が撮影できるように原子レベルで映せるのだ。
この放射光なら現場から採取した微細試料に含有されている微細成分を非破壊で分析できる。先の事件で砒素の分析に何日要したかは不明だが、施設使用料は1日約50万円だ。SPring-8が鑑定に利用されるとは想像もしなかった。
科学による事実の解明が、必ずしも裁判において被疑者の犯行を断定する証拠につながるわけではないが、科学は犯罪者を確実に追い詰めるだろう。切り札はバイオテクノロジーだ。
科学警察研究所の取り組みの1つに民族識別がある。犯罪の国際化に対応するもので生体物質を試料とする。具体的には、2次元電気泳動を用いた色素蛋白や酵素に関する識別や、脂肪酸組成による識別が考えられている。血液型はもちろん血清型、皮膚や毛髪などの色素を調べたり、消化酵素や分解酵素などの酵素活性を調べて民族を識別するという。
また、民族ごとの不顕性感染ウィルスの出現頻度から識別する試みもあるようだ。この技術が確立されれば、マイノリティの犯罪者ほど特定されやすくなるだろう。
同研究所の計画の中で注目されるのが、犯罪者DNAデータベースの構築だ。短鎖DNAを用いるミトコンドリアDNA多型検査法などの型分類検査法が確立され、また、DNAチップ解析装置等の設備の小型・低コスト化が進展したことから、データベース構築が検討されている。
安直な利用法は、DNA登録された犯罪者による再犯時の立証だろうが、はたしてそれだけのためにDNAを登録するのだろうか。DNAプロファイリングシステムという言葉が登場していることを考えれば、DNA型から犯人像を推定したり、再犯率や犯罪傾向を弾き出して犯人検挙につなげたいと考えているのだろう。

SPring-8
http://www.spring8.or.jp/JAPANESE/
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